このレビューはネタバレを含みます
開始25分以降、エピソードごとに涙が流れて脱水症状。
痴漢に遭えばスカートを履いていた自分のせいと言われ、夫婦で生んだ子の育児なのに夫から「手伝う」と言われ。主人公のどの回想も、観客が体験した類似の経験に結びつくはず。鑑賞中ずっと共感の悔し泣きをしていた。
癇に障る言葉を言ってくる登場人物が「悪い人」としては描かれてないのがリアル。その人たちが常識だと思っているモラルに、そのモラルに基づいて吐き出される配慮ない言葉に、ジヨンや母ミスクが傷つけられて、観客も苛立って来る。
唯一救いなのは、母や姉、同僚の女性がジヨンのために怒り、戦ってくれたこと。その優しさがありがたくて、でもわざわざ声を上げて戦わないといけない理不尽さに涙が出た。女であるという理由で学問や夢を諦めたミスクがジヨンのために戦った場面と、ジヨンがミスクの母として語った場面はしんどかった。この映画のクライマックスはここだと思う。
育児は母親がすべきというような言葉に、キャリアウーマンの女性チーム長が言い返したシーンの最後が見てられなかった。結局チーム長がおどけて話を終わらせたのは、譲歩なのであって。主張と我慢の使い分けができたからこそチーム長は出世したんだろうけど。軽んじられた側が結局譲歩している姿が、見てて痛々しかった。
女性社員だけがお茶くみをしている場面も見逃しそうになるくらい自然に描かれていたし、違和感を感じていない自分の鈍感さに気付かされた。毎日のように役所や企業を訪問するのに、男性にお茶を出されたことってそういえば一度もない。この映画観るまで深く考えたことなかった。
思い出すこと、考えることが多いので気軽には観られない作品。