雇い主 VS 家政婦
舞台は香港
雇い主:チョンウィンは、障害があり車椅子生活だが、性格は横柄でケチで嫌なヤツ。
家政婦のエヴリンは、出稼ぎフィリピン人で元ナースだが、家政婦経験はゼロらしく、手際が悪いのと言葉が通じないのとでオドオドしている感じが不憫ではあるが、正直、ちょっとイラっとしてしまう。
家は狭いし、結構年季が入ってるしで、見ているこっちもなんだが窮屈でどんよりした気分に。
そんな、衝突&トラブルの予感満載なスタート。
▼以下、ネタバレ含む▼
建築現場で不運な事故に巻き込まれ、車椅子生活になってしまったチョンウィン。
息子の受験の失敗、妻とは離婚して息子とも離れ離れに。妹とも不仲。
唯一、こまめに顔を出してくれる友人:ファイがひとり。最初、弟だとばかり思っていたが、どうやら元同僚のようだ。
息子とは時々Skypeでテレビ電話ができているし、電動車椅子で疾走する姿を見る限りは、ひょうひょうと生きているように見える。
AVマラソンと称してファイと長時間のAV鑑賞(カニみたいに縛るのがプロ意識だと褒めていたが、AVが日本製だったのには苦笑)をしたり、Gで解雇か雇用の継続かの駆け引きをしたりで、面白おかしく過ぎていく。
しかし、不意に襲ってくるやるせなさや情けなさ
息子の大学の卒業式(ニューヨーク)に行きたいけど、この身体じゃとてもじゃないが行けないし、知らないうちにウンコ漏らしてしまってるし、、、
エヴリンの方は、訳ありで国から逃げてきたのか、泣きながら電話する声が、薄い壁から聞こえてくる。
そんな、人生、うまくいってない二人が、主従の関係から、徐々に対等な関係に変わっていく。そのキッカケが、
“夢”
重い障害で夢なんか持てるわけないだろ、というチョンウィン
家政婦の分際で夢だって? と思われているエヴリン
カメラのプレゼントされ、お礼に「クソありがとう」で、涙
電動車椅子の二人乗り
カメラを売って、国の家族に送金
二度目のカメラのプレゼントで、涙涙
このあたり以降は、涙腺がやられてしまい、ちょっとしたことで、涙涙涙
内緒で作ったポートフォリオ、妹のカード入れに忍ばせた写真、息子への花のプレゼントに添えた写真とメッセージ
その他にも、八百屋のおばちゃんとの攻防、ダンボールカフェ、出稼ぎ外国人事情、エヴリンの母との電話での怒鳴り合い、友人ファイの義理堅さ、、、
いい映画だ
こんないい映画に出会えたことに、
クソありがとう!
ちなみに“チーラーシン”は、気が狂ってる、頭がおかしい、という意味らしい。