jonajona

淪落の人/みじめな人のjonajonaのレビュー・感想・評価

淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)
5.0
なぜか『れいらくのひと』って読んでたけど『りんらくのひと』なんですね。
ひっさびさに映画館鑑賞。3月非常事態直前に滑り込みで見に行ってぶりなんで…
ん?2ヶ月ちょい程度か?笑

一応のコロナ明けに相応しい、
愛に満ちた最高の映画体験でした。
異文化コミュニケーション映画として至高の一本です。

中盤から閉め忘れた蛇口みたいにチロチロ泣いてて、終盤まで止まらなかったのは初めてで自分に驚き。ほんとにここ3年ほどで涙もろくなったなぁ…と。おじん。

あまり見られてないのが勿体ないレベル。色んな人にオススメしたい。その位間口が広い疑似家族モノなのに、貧困・人種・移民問題に生活レベルの目線から切り込んだテーマ設定が完全にハマっているのが素晴らしい。
穏やかで見逃しそうなワンシーンワンシーンが全て愛おしく思えてきて、実際全てのシーンに無駄がなく、後の展開のフリとして作用してる気がする。べらぼうに上手い。目眩がしそう。

中国や香港にフィリピンの家政婦が増えてるなんて知らなかった自分が恥ずかしいけど、まぁそれは置いといて。移民や人種問題を取り扱う展開構造のうまさが際立ってて。とくに、前半から登場する出稼ぎフィリピーナの友達たちとの会話が秀逸。
『上手くやるコツは、バカのフリをすることよ』『広東語が分かるなんて言っちゃダメ』という主人公に対するアドバイスから、差別的に見られる事が常態化してる他国での現状を受け入れて話を進める物悲しさと、同時に貧しい故の強かさとたくましさを感じる単体としてもユーモラスなシーン。でありながら、その後の主人公2人が国と立場を超えて交流を深め合っていく時に『目に見えない段階として』なにをクリアしていってるのかを可視化する役割を担ってる。ゴリゴリ効果的なフリ。
もうそれをされたら、2人が分かり合えたシーンで情緒的な音楽が流れるだけで泣けてくる。音楽使いも素晴らしかった。

ダラダラ書いちゃいましたがマジで映画館で見れてよかった。
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