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スーヴェニア 私たちが愛した時間/ザ・スーベニア 魅せられてのとぽとぽのレビュー・感想・評価

3.5
脇道に逸れる(あるいは逸れない)経験="土産"が自分独自の"声"を作っていく作家主義的カミングオブエイジ青春成長映画

10ポンド貸して。お金が入ったらちゃんと返す。学校の機材や教材に必要で。人生は難しいです…作品作り、とりわけ映画を撮る人たち皆がまずは通るような私的/個人的な題材よりもさっそく社会的な意味を込めたがる、"いいかっこしい"な若さと甘さ?80年代を舞台に作りたい半自伝的映画がある。映画から映画を学んでいく、あるいは人生の階段も。なんだか奇妙な映画ではあったけど学びや気付きも色々とあって、木に名前を彫り刻んでいた。
"声"を見つけられないもどかしさ。セリフ以上に映像で語る術を心得ているよう。時に絵画のような美しい構図、配置や鏡を用いた演出などで物語を語る"声"がある。予想以上に(魅惑的ではあるものの)淡々とした語り口というか作品表面上の空気や雰囲気。ずっと見たかった作品だけど、これは映画館で見ていたら寝てしまいそうだな…自白します。本作の語り口それ自体は豊か。一見シンプルだからこそ却って難しい本当の奥深さを、理解できているかはさておき、味わう(味わおうとする)背伸び経験。
人生勉強!そしてそれらによってまた演出の感性が磨かれていく。そのための通過儀礼なのだろうか、自分より大人な人に惹かれる恋とか。表現を志すには恵まれている"普通な"自分。君は変わっている、きっと多数派ではない。普通とはなにか?考えすぎちゃう性格。当人たちからすると情熱的な恋をしたけど、周囲からの受けの悪い彼氏。外交官をしている & 映画学校の先輩にあたる(?)年上の男性のはずが蓋を開けてみれば実は、顎や視線、無言のたった一瞥で当たり前のように主人公にお金を出させるヤク中がっつりジャンキーだった。

私は肉用フォークを使わない
P.S. 最初映ったときティルダ・スウィントンだって分からなかった。
※本作自体も、長々と色々書いてみても結局大事なことは何も分かっていなさそうなので解説etc.は求めないでください!二徹ハイで見る映画でないことだけは分かりました
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