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TENET テネットのtakatoのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.1
 ダースさんとヨシキさんたちの鼎談で触れていたが、やはりノーランは「奥床しく」ない人だなぁ…という感じ。本作もそんなに大きなもんを爆破したりしなければ、全然低予算で小さな話として上手くまとめられる監督はいるだろうと思う(昔のカーペンターとか)。


 本作に限らないが、ノーランの作品って尺が凄くてなんか深そうだけど、よく考えてみるとそうでもねぇなぁ…ってことが多すぎる。どうも実態以上に自分自身も作品も「立派に思われたい…」なカラクリ心で作品も膨らまし粉が効きすぎてる気がする。不器用で自分を全然飾らない「奥床しい」人こそ偉い。


 本作では以前は弱みだったアクションの見せ方はだいぶ向上してるし、スパイのミッションをこなしていく過程はなかなか楽しいが、それをドラマやエモーションと結びつけるのが上手くないから、どうもお使いミッション感が…。


 ラストの時を超えた男の友情、運命から逃れるのではなく積極的に受け入れるというテーマは非常に自分好みで、上手くそこまで展開しててくれてたらそれこそ号泣コースだったけど、別にここまでの流れの集積が一気に爆発するというより、とってつけた感でそこまで…。


 本作を見ていて改めて思ったが、この人ってキャラを描くことにも、ストーリーテリングにも、あんまり愛情を感じてないんじゃないかなぁ…ってこと。映像とテーマありきで、後はそのための言い訳的にキャラやストーリーを用意している感じで…。「ダンケルク」みたいに、物語とかは最小に削った作品の方が本来の資質に合ってるんじゃないかな?。


 ポンポさんの映画90分論を断然支持!とは言わないが、やはり無駄な贅肉や「水っぽいプリン」状態なのではどうにも物足りない。
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