【革命的な映像体験は面白かったけど、アクション映画としては・・・】
正直に言うと普通でした💦
アクション映画としての脚本が弱いです。
まず思ったのは全体的に敵の描写が弱くてハラハラしないということです。
例えば「核ミサイルで世界に危機が迫ってる」とかだったら、兵器の恐ろしさを既に知ってるから、
世界の危機感が伝わり、ハラハラドキドキします。
でも「エントロピーが減少して世界が一瞬にして消え去る」って言われても、
ピンとこないんですよね💦
だって一般的にエントロピーの恐ろしさを知らないもん。
せめてエントロピーによって人や街が一瞬で消え去るショッキングな場面があったら、危機的な状況が伝わると思いますが。
それに加えて敵が
なぜ人類を滅亡させたいのか?
という目的も納得できなかったです。
そこまでして人類を滅亡させたい原因は何なのか描かれてません。
この2点からアクション映画としてのハラハラ感が弱まってる感は否めないです。
(音楽が緊迫感を高めてはいますが)
なにより、この敵が強いのか弱いのかよく分かりません(笑)
「ダンケルク」では一切見えない敵の恐怖、
「ダークナイト」ではヒーローの根底を揺るがすジョーカーと
敵の描写で恐怖を与え、ハラハラさせてくれるノーランの姿は今作にはありませんでした。
正直アクション映画として敵の描写が弱いのはかなり致命的なので、
迫りくる敵をもっと丁寧に描いてほしかったです。
敵の描写が淡白な上、主人公側の描写も淡白なんですよね。
たぶん物語が複雑だから、登場人物の背景や人物像をあえて排除していると思うのですが、
やっぱり背景が分からないと
行動の動機がわかりづらく、感情移入もしづらいです。
また物語のキモである「逆行」もあまり活用できてない印象でした。
逆行をしていることの最大の利点=結果が見えてるので、予測して攻撃を避けられるということを
もっとアクション映画として見せてほしかったです。
反対に結果は見えているけど、絶望的に避けることができないといった描写も
「運命自体は変えられない」という今作のテーマにも通じるので、
それももっと見たかったです。
逆行アクションも結構もっさりしていて、主人公と逆行のヘルメットの男の戦いではただ揉み合いになってるだけで、
アクション映画としてあまり面白くなかったです。
色々書きましたが、映像体験としてみれば、
同じ空間に順行と逆行が混ざり合ってるところは今まで見たことない映像で、
さすがノーランだと思いました❗️
伏線回収も要所要所で入れ、難解ながらも飽きさせない工夫が見られ、
良かったです❗️