DJあおやま

TENET テネットのDJあおやまのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

みんな大好きノーランの新作。期待に胸を弾ませいざ鑑賞すると、あまりにも難解でずっと脳味噌をフル回転させていたので疲れてしまった。もはや初見で理解させる気がないレベルで難しい。もう2つくらい脳味噌が欲しいくらいだ。
大筋はギリギリ理解できたが、“?”は多く残ってしまった。どうしても理解できていない点が気になって、不完全燃焼感は否めず。そのため、映像の圧巻さや伏線回収の巧みさに息を飲むシーンは多くあったが、両手放しに「面白かった!」とは言えない。100%理解することは諦め、「考えるな、感じろ」という思考にシフトできるほど、柔軟な脳味噌だったら良かったのだが。完全に理解してから、本当に面白かったのか評価したい。
それにしても、ロバート・パティンソンは良いね。『トワイライト』シリーズから、素敵な英国紳士になった。これは来年公開の『The Batman』にも期待が高まる。エリザベス・デビッキはとびきりの美しさで、あまりにスタイルが良いため、190cmくらいあるんじゃないか?と思ったら、本当にあってびっくり。

☆追記(以下、ネタバレあり)
観賞後、さまざまな人の解説を読み漁れば漁るほど、途方のないほど作り込まれた脚本だということに気づかされる。多少の矛盾はあれど、ここまで緻密に作り上げられた脚本に、あえて観客を混乱させようと見せ方にこだわった演出、こんな超大作はノーラン作品でしか観れないだろう。
ただ、あまりに複雑な展開を理解しようとすることに必死になってしまい、映画として純粋に楽しむということが二の次になってしまってたのも事実だ。時間を順行・逆行する人が混在する映像は、まったくの初体験でセンセーショナルだったが、普遍的な映画の面白さに繋がっていたかはわからない。「オスロで対峙した謎の人物は自分だった」、「キエフで自分を救ったのはニールだった」、「テネットの黒幕は未来の自分だった」、こういった伏線回収は気持ち良かったが、映画的にわかりやすさに欠けていて、完全には乗り切れなかった。そこを単純明快に示してしまっては、凡作に成り下がってしまうというジレンマではあるが。
まだ消化しきれていないところはあるものの、少し残念なところを言えば、複雑な脚本に目がいって重厚な作品に思いがちだが、人間ドラマが圧倒的に足りなかった点。自分がノーラン作品で特に好きな「インターステラー」や「ダークナイト」は、人間ドラマに溢れていた。主人公のキャットを起因とする行動原理にいまいち理解ができなかったし、キャットが息子を思うわりには、あまりクレバーな行動を取れなかったことも気になる。ただ、ラストの主人公とニールのやりとりは良かった。おそらくニールの正体も含めて、胸熱ポイント。
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