やまざきこうた

TENET テネットのやまざきこうたのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

最高でした。ノーラン好きやあ。

序盤から舞台がどんどん替わる。テンポがいい分情報量も多くて、ノーランにスパルタマラソンをさせられている気分。息つく間もなく、理解が追いつかない。圧倒的な映像を暴力的に浴びてハイになっていく。「直感に頼るしかない」
物語の筋を掴んできて、正気を取り戻してきた頃に伏線が回収されていく。逆再生ギミックをフル活用したシークエンスの連続で脳が破壊される。アヘアヘですよ。
飛行機を建物に突っ込み爆破させたり、飛ぶ船でレースさせたり、車逆走させたり、CG使わず本当にやっちゃう病気のノーラン、アタオカだぜ。(褒めてる)

映像美・迫力に加えてノーラン作品の素晴らしいところはSFでありSFでないところ。SFはエンタメ装置でしかない。語られるのは人間ドラマ。
今作では主人公とニールの友情やキャットとセイター(+息子)の関係がメイン。

セイターにひたすら抑圧され続けてきたキャット。反抗しても勝てない。無力感に囚われている。救って欲しいけど、それを請うことも諦めている。
そんなキャットが海に飛び込むシーンでちょっと泣いちゃいました。自分が憧れていた自由な存在は未来の自分だったという。ズルいくらい美しいシーンでした。

そしてニール。胡散臭さがあり、黒幕コイツなのではという疑念がなかなか払拭できなかったけど、ラストに二度も主人公の命救っちゃう。去り方かっこ良すぎるだろ!
主人公も逆行を繰り返し挙句の果てには黒幕だった。自分でも主人公(Protagonist)って言ってますもんね。逆行した自分と闘うシーン、めちゃくちゃ気持ちよかった。

今作、逆行をフル活用して過去の自分と闘ったり未来の自分に想いを馳せたりするわけですが、これって人間がいつも心の内でやってることですよね。現実に起こったことに対して、喜怒哀楽の感情をコントロールするため、逆行は常。反復。
また、ニールの台詞「起きたことは仕方がない」ってネガティブな響きもあるけれど、TENETにおいてはポジティブな意味に昇華してる気がします。
つまり、過去や事実は変えられないけれど、捉え方によってその意味が変わる。ってことはある意味「変えられる」んじゃないですかね。変えられるという信条(TENET)こそあれば、主人公に成り得るんじゃないか。
ノーランはこんなメッセージを込めたのではないかしら。だとすると、なんて素敵な映画なんだ!

エンドクレジットを眺めながらこんな妄想をしていました。
ノーラン好きやあ。最高でした。


追記 : MX4Dで友達と2回目観てきました。ワーナーのオープニングで椅子がプシュッてなって「ああ、これがMX4Dだったな」と。
2回目に観ると発見が多く、最初の助けてくれた奴ニールがだったとか、「10分間でいいから会いたい」「時間の問題じゃない」とか、友達曰くキャットの息子がニール説とか。

一番おおって思ったのは、キャットと男が初めて会ったときのキャットのバストショット。キャットが虐げられているという話をしているとき。キャットの前髪の影で顔に涙の流れた跡ができてます。これ、間違いなくライティングで狙ってると思います。演出が細かいー。

なにより最後の10分間の作戦が初見よりは理解を深められた気がします。(まだ完璧ではない笑)

しばらく時間おいて3回目チャレンジしようかな!!
やまざきこうた

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