たつなみ

TENET テネットのたつなみのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

予告編があまりにも凄すぎて絶対に映画館で観なければと思っていた作品。
(Dolby cinemaオススメです)
ホント良くこんな話を考えつくなぁと思う。

まず『量子力学を応用して時間を逆行させる装置』という、実にドラえもん的な発想をここまで堂々と語れることが逆にスゴい。
(一応褒めてます)

こういうノーラン流の”アカデミック”な所って『インターステラー』っぽいし、『時間の逆行』と言えばどことなく『メメント』も彷彿とさせる。
通常の時間の流れと逆行する時間とか混ざり合い、何を観ているのか訳が分からなくなってくる。
もはや『何のために何をしているのか』すら分からない。
主人公に至っては名前すらないし。
こんな映画はどこにも無いし、今まで経験した事のない映画体験だった。

でもね…。
皆さん大絶賛の嵐の中申し訳ないが、私は観ていて途中から何か引いてしまった。

科学的な事は全く分からないが、『それって本当に合ってるのかなぁ…?』と思える様な疑問を映像表現で強引にごまかされてる気がする。
あの回転扉を通ったモノ(人も物質も)は時間が逆行するのは分かる。
でも何で回転扉を通ってない自動車とか空気、炎といった自然現象まで逆行するの?
(私の解釈がおかしい?)
あと途中で『時間の逆行』と『タイムスリップ』がごちゃまぜになってないか?
誰か教えてよ!
それに”もう一回観たら分かるよ”的な仕掛けが多すぎるのも『どうだ?スゲェだろ?』って言われてるみたいで鼻につく。

名も無き主人公が世界を救う為に全て仕組んでいたっていうオチや、相棒のニールがいずれ死ぬことを知りながら去ってゆくラストはとても考えられてはいる。
が、科学的な部分の解釈がどうにもモヤモヤするせいか、結末のご都合主義感が拭えない。

色々書いたけど、映画館でお金を払って観る価値はある。
が、高得点は付けられないという、何とも身悶えする様な作品。
唯一無二であることは確かだが、あまり深く考えず『こんなもんか』位の理解度で十分な気がする。