オスカー受賞後に見て、あまりにもハードルを高く設定してしまっていたため、どうでもいいような細かいツッコミどころが若干気になってしまった。
そもそも論として、これだけ機転が利く家族は、ピザの宅配用ボックスの組み立てアルバイトを一家総出で行うより、就職難の社会状況と言えど、もっと稼げる仕事、幾らでも見つけることができたじゃん?とか、クライマックスのIT社長一家のパーティーの前夜に家が洪水に襲われ、着の身着のままで体育館で一夜を明かした父親と息子、娘が、それほど時間も空いていないパーティーの現場に、きちんと洗髪したサラサラヘアー、何よりも、サイズがぴったりフィットした,そこそこ高そうな衣装を、よくもまあ短時間で揃えられたなあ・・と。ハードル高くしすぎて見ちゃったんで、賞レースの情報を知らずに見ていたら、レビューはおそらく5。
ポン・ジュノ監督らしく、美しく凝った映像、巧みな撮影手法や音楽の使い方に加え、この作品は、これまで監督が扱ってきた作品群に該当する、重いテーマをより重厚に仕上げるという手法と打って変わって、「格差社会」という全世界共通のテーマを、よりエレガント、且つ、エンタテイメント性を高くして製作しているので、海外の映画人にも受け入れられやすかったんだろうなあ。
キャスティングも見事でした。でも、モノクロバージョンまで上映ってのは、ちょっと欲張りすぎかな。