このレビューはネタバレを含みます
最初はやる気に満ちて仕事をして収入を得ることに喜びを感じていた。
しかし、変わらない自分の地位にイライラし裕福であり幸せに満ち溢れた家族をみているうちに心の奥底の闇が沸沸と湧き上がる。
自分たちが今までいた半地下生活の匂いは自分たちではわからない。
住む世界が違う者に初めて言われて改めて自分たちの地位を思い知らされる。
そして、このまま変わることのない地位に苛立ち地位が高い者達を妬む。
社長家族は何も悪くないただ臭いが気になるだけ。臭いはしょうがない。やはりどんな人でも嫌な臭いを嗅げばウッと鼻を摘みたくなる。それが、馬鹿にされたような今までこうして生きてきた自分たちの人生を否定されたようなそんな感情になってしまったのかなと思う。
タイトル通りに一家は社長に寄生していくけどずっと社長宅に住み着いてる男には本当に狂気を感じた。
階段の電気のくだりは江戸川乱歩の人間椅子を読んだ時みたいにゾッとする。
最後、息子はお金持ちになって父親を助けると言う夢を思い描くが薄暗い半地下で手紙を書く姿からそれは叶わない夢だと匂わせている気がした。
どんなことをしても這い上がることのできない格差社会を上手く表現しているなと感じた。