身勝手な太陽

パラサイト 半地下の家族の身勝手な太陽のネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

【イ・ソンギュン追悼③】

「パラサイト 半地下の家族」

 今井大輔が描いた漫画「ヒル(WOWOWで実写化されてます)」と似ていますが、「ヒル」は主に単独で寄生、「半地下」はキム家が家族ぐるみで寄生してます。
 さらに、「ヒル」は住人の生活パターンを詳しく調べて外出中に短時間侵入するのと、「パラサイト」では豪邸の住人を巧みに騙して仕事を得て堂々と出入りしたり、豪邸の地下に住み続けて数年間も寄生する点が違います。
 いずれにしても正体がバレたら終わり、隠れてるのを見つけられても終わりです。当然ですが犯罪なので。

 現在の豪邸の住人であるパク社長一家は、豪邸の隠された地下室の存在と、ムングァンの夫グンセがそこで暮らし続けている事実を知らずにいますし、しかもパク社長一家が住み始める以前からの事なので、それ以前に住んでいた建築家ナムグンがいた頃から家政婦として働いていたムングァンがナムグンが引っ越した後も無断利用してたわけです。

 で、この物語は豪邸に地下室が存在する事で成立してるので、キム家がパク社長一家に寄生しようなどと考えさえしなければ惨劇も起きたりしなかったのです。
 父親ギテクが「無計画」なら間違いも無いと言ってますが、その本人が自分の感情をむき出しにし、パク社長を刺殺した事で全てを無にしてしまいました。その理由が、パク社長がグンセのあまりの臭さに鼻を曲げた事だとか笑い話にもなりませんし、失ったものが大き過ぎます。

 結局、ギテクが半地下にいた頃に指で弾き飛ばした「便所コオロギ(カマドウマは毒も無く、多少不潔で多湿な場所にいる事が多くても、害虫とも言えない昆虫)」のように、少なくとも半地下の悪環境にいても善人だったはずの自分がした事が原因で家族もろとも社会から弾き飛ばされたのと同じ事ですから。
 なのに、事件後も自分だけ懲りずに寄生している反省の無さは許しがたいですね。

 あと、この作品中には「コカイン」や「ドラッグ買って」といった言葉も出てきますが、立件された現実の警察捜査で一度も陽性判定すら出なかったのに、薬物使用疑惑報道に追い詰められて亡くなる事になった名俳優イ・ソンギュンが哀し過ぎます。韓国警察は謝罪すべきでしょう。私は絶対に許しません。
 ちなみに、2019年の韓国映画の観客動員数1位は「パラサイト」ではなく「エクストリーム・ジョブ」でした。ネット動画配信が隆盛となってる影響もあるのかもしれませんが。
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