このレビューはネタバレを含みます
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面白かった! 皆さんも、是非!
前情報99%無しで観た(フライヤの画像だけ見覚えある程度)。なので、昨年来、ポン・ジュノ監督ら関係者が「ネタバレ厳禁、言っていいのはキム家の兄妹が家庭教師になるところまで、以降は語らないで」と鑑賞者にお願いしていたことも知らなかった。
こういう映画はいいよね。レビューしなくていいから。語っちゃダメなんだからしょーがない(笑)
ご存知の通り、カンヌのパルムドール受賞作。そうなると、どうしても『万引き家族』と較べてしまう。家族構成や、社会的背景に、どことなく相似性を感じることができるから。でも目指す先、テーマは明らかに異なる。『万引き~』のほうが描き方が丁寧と感じたが、それは身贔屓もあり、また、あまり比較する意味はないのかもしれない。
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(ネタバレ・・・しちゃイカンらしいからご注意を・笑)
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エンターテイメントとして見応えあり。ゆえに、批判精神や風刺が物語を通じて見事に作品として昇華されている、・・・なんて語りたくなるが、描かれた内容が現実をさほど誇張していないとしたら、どうだろうか。
タイトル「パラサイト(寄生)」が示すとおり、寄生する側される側のお話。寄生するほうの生態は詳しくないが、寄生の宿主となる富裕層の、特にご婦人の妙な欧米志向は、私の知人一家でも垣間見られるシーンだ。本作品のようにむしろまだ韓国国内に居るならいいほう。現実は、亭主は国内で稼ぎ、母親と子どもたちはアメリカ西海岸でアメリカナイズされた暮らし・教育を享受し、お国に帰って来さえしない。国に絶望している、とは言い過ぎか。
架空の物語としてエンタメに富んだ笑いに紛らせて良いと、カンヌの審査員も、昨今流行りの格差社会批判をフィクションに落とし込んだ一連の作品のひとつとして評価したのだとしたら、韓国の実情を知らな過ぎるのかもしれない。
富裕層を知略で翻弄し、立場の逆転を謀るのでもなく、長きものに巻かれ少しだけ甘い汁を吸う(まさに寄生)、そして、本来なら世の不条理に立ち向かうべく連携し徒党を組む同じ境遇の者同士で蹴落とし合う。ギャグ的に描かれているようで、それは実はまがいもない現実なのではないだろうか。エンディングの救われなさがコトの重さを物語る。
本作品は、エンタメに擬して、ポン・ジュノ監督が地下から放つモールス信号だとしたら・・・。
良く出来ているがゆえに騙される、ということもある?!(怖)