Carly

パラサイト 半地下の家族のCarlyのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

スコアを伸ばせない理由。
それは『もう二度と観たくない映画』だからだ。

まず、映画としての完成度は非常に高く、素晴らしいものだった。脚本も展開も良いし、美術も凝っていて、俳優たちの表情も世界観に心を奪われるようなもので本当に素晴らしい。
ただ、わたしは冒頭の通り二度と観たくない。
なぜか。『気持ち悪い』、のである。

半地下特有のじめじめとした薄気味悪さ、下層から漂う(と表現されている)臭い、不気味なまでのその様が妙にリアリティを伴っていて、観ていて吐き気がした。(そうさせるだけのものがあったのだからやはり映画としては素晴らしいのだと思う)
特に、個人的に嫌悪を覚えたのは一家が寄生し、キャンプで留守中の主の家で我が物顔で宴会をしているシーン。あれは観ていて鳥肌だった。勿論、不気味な方の意味で。
人様の家に上がり込み、その上さらに勝手に酒や冷蔵庫を物色し、そこら中を散らかす。あまりに低次元な振る舞いに嫌悪感しかない。まるでそれが将来は自分のものになるかのような勝手な勘違いも烏滸がましく、不愉快きわまりなかった。

ただ、それが現在の韓国における格差社会を体現しているものだという説得力は凄まじく、カンヌで評価された理由もよくわかる。それは非常に厄介なところである。

裕福な家庭の四人は顔立ちをはっきりとさせ、姿勢が良く、品格がある。反対に半地下の四人は一重で体型も姿勢も悪く、灰色を思わせる存在。キャスティングも光っていた。

ラストシーンは"明るい未来"を感じたという人もいるが、個人的な見解としてはわたしは真逆の印象を持っている。青年は必ず父を迎えに行くと言ったが、あの映像はあくまでも彼が思い描いた夢でしかない。日本以上に学歴格差社会である韓国で、四度も大学入試に失敗している彼が、これから立派に就職をしてあの豪邸を買える程に稼げるようになるなど到底あり得ない話である。
恐らく、彼はあのシェルターに潜んでいた男のような末路を辿っていくのだろう。半地下から抜け出せず、存在だけは認知されているから辛うじて年金があるかどうか。不透明な未来に対する現代人が抱く不安。それを描いているようにも思える。
Carly

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