somaddesign

パラサイト 半地下の家族のsomaddesignのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
乳首を時計回しすな すな すな すな……

:::::::::::

今年見た映画でベスト!
まだ1月なので今後どうだかわからないけど、少なくとも今年の韓国映画ベストなのは間違いない。

見たことない映画すぎて、どう褒めていいか分からない。
確かに「万引き家族」や「us アス」に似てるけど、底流に流れてるのはケン・ローチな社会の不均衡、経済格差、強者が弱者を踏みにじる社会構造への怒りがあるし、王様を貧者が騙す展開て童話のようでもある。寓話的コメディ。

黒澤明×三船敏郎、北野武×大杉漣、ティム・バートン×ジョニー・デップ……名作映画のツーマンセルの系譜に連なるポン・ジュノ×ソン・ガンホ。「殺人の追憶」「グエムル」「スノーピアサー」とタッグを組む度に傑作が生まれる。
個人的にはパク社長夫人がとても美人で色っぽいけど、どことなく坂○杏里に見えて「厄介事の予感がする…」と思ってた。

映画の構造上/物語の性質上、ヨコ並びの対比じゃなくて、タテ並びの関係性の作品になってるのがすごい!
二つの家族の対比を空間上のタテ関係で見せてて、下町の半地下の貧乏暮らしと高台の豪邸。経済的に大きな開きがあるのはもとより、地面より下の虫の巣穴のような生活者と、それを遥か高みから見下ろす人達の対比。 高みの暮らしの人たちからすれば、虫並みの生活が困窮しようが被災しようが関係なく、便所虫のようにつまみ出され、消毒されてしまう。水は低きに流れ溜まる。

言葉にならない悲しさや怒りがクライマックスで爆発する様は、アーサー(ジョーカー)が延々と言葉で説明してたのと対照的に、パク社長の1つの仕草にギテクが1つの行動で答えたのも良かった。
(そういえば事の発端も、無職の後輩のために先輩が当てがった仕事が元。これもまたタテ関係だし、大黒柱なのに甲斐性の無しの父と息子のタテ関係。二人の父親の対比でもあるのか…💧 親子間でも敬語が普通で不甲斐ない親の悲哀と、親を立てたい子の葛藤の物語にも見える)


半地下の部屋のある下町の街並みも、あの大豪邸もセットだそうで驚いた。生活感や臭いが漂ってきそうな作り込みがすげえ! 半地下のカビ臭い部屋の臭いはもとより、彼等がまとう生乾きの洗濯物や下水道・消毒液の臭いがしてきそう。汚いわけじゃなくて、彼等自身も自覚できないくらい染みついてる貧乏の臭いっていうか。
(大豪邸の割に細かい段差が多くて、実際住んだらしょっちゅうコケそう)

ことほど左様に空間的な位置関係や建物の構造まで、タテの関係性のメタファーになってたり、クローズアップの多用で狭い視野の洗脳状況を示唆したり隅々まで緻密な作り込みが光る。
他にも鑑賞岩や砲丸投げのメダル、安いパンツ、梅シロップ、コンドームetc...心情や関係性のメタファーになってると思われるアイテムがブリブリ出てくるので、見るたびに発見があるし、それらの意味を考えるだけで日が暮れる。



難癖をつけるならば、1幕目でトントン拍子にパク社長家を騙してしまうので、最初の逡巡はなんだったのか?ていう気持ちと、あっさり善悪の境界を渡ってしまう迷いのなさに違和感が残った。それだけ逼迫した貧しさってことでもあるだろうけど、仲良い家族が外道に堕ちる姿は見てて辛い。


(素朴な疑問)
パク社長一家がキャンプに出かけてる間に酒盛りしてたけど、減った分や食べた分を補填しないとバレちゃいそう。どうやって誤魔化すつもりだったんだろう?


10本目
somaddesign

somaddesign