エアール

パラサイト 半地下の家族のエアールのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.7
こんなの計画外、笑


カンヌ映画祭にてパルムドール受賞ということで
おめでとうございます。
絶えず広がりつつある貧困格差を風刺したエンターテイメント作品ってことで
展開も含め楽しませてもらいました。

あらゆる要素を詰め込んで…
とあったので
いかほどのものなのかと期待していた部分もありましたが
たしかに面白い構成だと思います。


借金も、納税も知ったことか、笑
(半)地下住宅でしがない内職をしながらその日暮らしをおくるキム一家が
この物語の主人公になります。
”ただただ普通の暮らしがしたい”と
そう望む一家に
ひとつのチャンスが舞い込んでくる。

長男の友人で、男前の大学生友人が
自分が留学する間の代打にと
高台の豪邸に住むとある裕福な家庭の
家庭教師の仕事を紹介し、
長男、ギウがその仕事を引き受けたことをきっかけに
思いもよらぬ事態へと発展していく様を
一家の視点で描いております。

不景気真っ只中のタイミングで
またとない高給の”就職先”にありつけたギウ。
全員失業中である家族のことを考え
そこから如何にして
この裕福家庭に”家族で”寄生していくのか、
練り上げられた計画と巧妙な芝居に
舌を巻く前半戦でしたね。

思いましたけど
父様のギテクに、母様のチュンスク、
ギウもそうだし、妹のギジョンについてもみなさんに共通して言えることで
そもそもの能力が高いですね、笑
非常に優秀ですし
先を読む力も、判断力・対応力も見事なもんでした。
”家族”=チームとしての連携も素晴らしくて
その力をスマートに披露してくれるのが
本編の前半になります。

その前半を受けてからの中盤から後半にかけては
一家にとって計画外の事態に見舞われ
ーーこの大邸宅には
家主すら知らないとある秘密がありましてね、笑
まあ〜そんなわけで
言うところのピンチに陥ってしまうわけなんですが…

予期せぬ事態に直面したときに
その時の状況を的確に把握し、その後に打開策をどう打って出るのか、、
時として”手を打たない”という選択が
最善である場合もありますよね。
一家が問題に対してどう対処していくのか
ひとつ考えさせられる場面です。

さらには
後半では抑え込んだ感情が爆発していく場面もあって
前半のクレバーな感じとはまた全然違う印象を受けることでしょう。
ひねりも効いていて、ぐんぐんと加速していく物語は吸引力もありますし
作品としての価値を十分に堪能できるかと。。

いや〜にしても
ポン・ジュノ監督、おそるべし、笑
エアール

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