島田大輔

パラサイト 半地下の家族の島田大輔のネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

脚本の緻密さがすばらしい
非常にまとまった映画であった。
ソンガンホが父の心の変化を描ききったことに感服。

『計画する事はうまくいかない事がある
だから無計画なのだ。』

事業に失敗し、何度も計画通りいかない事で、世の中に諦めてしまい、
その言葉通りの半地下の生活を余儀なくされていた。

恐らくは元々はある程度の生活をしていたのは、息子に三回受験できた事や英語を話せる教養がある事、妹に宿主の風呂に入ってる姿が似合ってるというところからも予想される。

半地下の住民ではあるが、教養はあり、
ユーモアと行動力でひょんな事で富裕層との接点を持ち、利用し、家族共々取り入れられようとする。

パラサイト生活を完成させたかと思ったが、宿主を喰う前に思わぬ予定外な出来事が。
前から別のパラサイトがいたのだ。
それも半地下以下の地下生活だ。
長年の日の当たらない生活をしたため、精神面での低下はあるが、金持ちは良い人と考えてしまい、家主をリスペクトする。


最終的に計画通りには行かず、
同じパラサイトの暴走で、娘を殺され、息子も重体に、元砲丸投げの妻が暴挙を防いだ。

どんなに心許していると思っていたが、永年染み付いた臭いだけは個人を変えられなかった。

息子も煌びやかなBBQを見ながら圧倒的な差を感じてしまった。
息子は韓国の受験戦争に負けたという引目から自分には眩しく感じてしまった。
前の日に自分の家が水没してクソまみれなってしまい、家を失い避難先でなんとか生きている反面、
子供の誕生日会にお食事会を開こうとしている圧倒的貧富の差を痛感した。

ただそんな自分を好きになってるくれている娘への矛盾をかき消したかった。

地下との決別を目的にもう一つのパラサイトを殺しに行くが、返り討ちにされた。

そこから悲しいクライマックスに。妻を蹴られて、頭部外傷で倒れたのを見て、
パラサイトが復讐し、子供?を殺そうとする。それを守ったキムの娘が刺されてしまう。

パラサイトの暴走が止まったのにも息子を守った娘が心臓を刺されているのにもかかわらず、鍵を渡すように指示。
死んだパラサイトを虫けらの如く扱い、汚物を見るかのように悪臭を嫌う宿主を見た瞬間、全てが崩れた。

テーブル下に隠れている時に夫婦で話しているのを聞き、自分には異臭がある事を悟られる。
長年すぎて気づく事も出来なかった自分に悲しさを感じた。

こいつは別の種族だ。

同じ仲間が死んでいく横で、いままで懸命に生きてきた意地と人間の誇りにて宿主を殺してしまう。
やはり無計画に。

無表情のまま
殺した蚊へ何も感じないように、
表をむかせて迷いもなく、娘が刺された同じ場所を刺した。

そして地下の生活に戻っていった。

モールス信号を送る事で息子に安否を伝えた。必ず見てくれるだろうと思って毎晩送り続けた。

そこで息子は父がまた地上に這い上がる事を夢見て、計画的にそこの家を買う事を夢とした。

蜘蛛の糸を垂らすかのように。



わからない点
インディンアンのテントは何か?
→富の象徴のアメリカのもの。
モーレス信号で、子供に助けてとうった理由は、
幽霊のエピソードは何か?
→半地下にいた住民をみて気を失った。

なぜモーレス信号を送ったのか?
→誰かに気づいてもらうため。わかったのはボーイスカウトをしている子供だけ。
最初に誰を殺したかったのか?
裕福な子供、助けてとSOSを送ったのに助けてくれなかったから?
それともうまく取り入ったキム家族を殺したかったのか?
→オバケを見たときはだ孫の誕生日、おいしいケーキを食べていた時に見た。
地下の住民に殺されそうとした時も出孫の誕生日。
殺されたのはおいしいケーキを持っていたジェシカであった。

2021/1/9追筆