SANUKIAQUA

罪の声のSANUKIAQUAのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.5
グリコ・森永事件は
私が子供の頃の事件でした。
スーパーなどの店頭から
お菓子が消えたということですが
当時私がお小遣いを手に通ったのは
一個10円で買える駄菓子屋だったので
あまり影響を感じませんでした。
事件も大阪という遠い都会の話で
今ではそんな事件もあったな
というくらいの記憶しかありません。
つまり私にとっては過去の話。

未解決のまま時効を迎えたけれど
大金が犯人に奪われたわけでもなく
誰かが毒物の犠牲になったり
殺人が起こったわけでもない
記憶にはあるけれど終わった事件。
今更掘り起こして何になるのか
マスコミの自己満足ではないのか。

現在でも毎日たくさんの事件がおこる。
大事件といえる殺人から些細な窃盗まで。
ただ、私たちはその裏で犠牲になる人々
直接的に、間接的に犠牲になる人々まで
想像することが果たしてできているのか。

この作品に関していえば
革命と称した自己満足な正義、
いや欺瞞が別の人の人生を
ズタズタに引き裂き、
そのまま去っていくことに
腹立たしく怒りを感じた。
そして思ったことは
私の中ではもう完全に終わった
過去の事件でも
ずっと続いていて
苦しみ続けている人が
いるかもしれないということ。
当事者にとって、
刑事事件的に、裁判的に、
解決していようが、判決がくだろうが
未解決のまま時効を迎えようが
終わりようがないことに
なりうることが突きつけられた。

冒頭からベースになっている
現実には未解決の事件は
あくまで導入として使われていて
中盤以降が本当の主題。
日々飛び込んでくるニュースは
よくよく深く考えてみなければならない。
改めてそう思わされました。
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