京都市内でテーラーを営む曽根は平成も終わりに近付くある夏の日、父の遺品の中からカセットテープと一冊のノートを見つける。なんの気なしに再生したテープからは幼い頃の自分の声が流れ懐かしく思ったのも束の間、それは30年以上も前に起こった未解決事件の脅迫テープ使われたものと同じものであると気が付いた。同じ頃、新聞記者の阿久津はその事件の真相を求め奔走していた。運命に導かれるように出会った二人が辿り着こうとしている真実とは、彼らの行動する意義とは……
小説原作の作品。脚色はあれど実際の事件に忠実に作られており、事件の名前こそ知っていても詳しくは知らなかったので驚くことの連続であった。登場人物が多く話も複雑に絡むためわかりにくくなりそうなところをうまく説明してくれるし役者陣の演技もとても良い。2時間半近い作品ながらあっという間に終わったような感覚だった。
知らなかったままのほうが幸せなことはある、でも知ってしまった以上そのままには出来ない。だからと言って向き合うことが苦しくないかと言われたらそんなはずもない。ただそうすることで救われた人だってたくさんいた。その葛藤が真相に近付くごとに伝わってきた。メディアの在り方と言うのも考えさせられる。