マテ

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のマテのレビュー・感想・評価

4.2
とても面白い「雑誌」を読み切った気になれたし、終わり方が切なくも温かいところも好き。ちなみにお気に入りの「記事」は牢獄の画家の話(全部)とシェフの話(カットされそうになっていた部分)。
映画から「読後感」を得るという貴重な体験ができたのもよかったが、雑誌という性質上どうしても短編集のようにならざるを得ないため、時折「私は何を観ているのだろう…」と冷めた気持ちに襲われ、現実に引き戻されたことも事実ではある。とはいえ最後の「死亡記事」のシーンによって、それまで「短編」のようだった物語が一冊の雑誌(あるいは編集長と記者たちの共同作品)としてまとまったように思われた。その時に感じた切ない幸福感が、私のこの作品の「読後感」なのだろう。
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