曾てのチームメイトを尋ねる旅。
ガブリエレ･サルヴァトレス。
男同士の、各々主張するも遺恨を残さない、そんな友情を描いたロードムービー。

本作のストーリーラインは至ってシンプル且つ明確で、異国モロッコの地で投獄された元友人を救う為、嘗てサッカーのチームメイトであった四人が10年振りに再開、旅をすると云った趣旨の作品である。
作品内では夕陽に染まる砂丘等、モロッコの雄大で美しい景色を背景に、四人がその10年に抱えた日々の鬱屈や焦燥、家族の重み、自責と自戒の念と、各々への想いが吐露されてゆく。

ロードムービーと云うジャンルには“ゴールが決まっている”と云う特性が有り、起承転結の「結」と「ゴール」が同一である場合が多いが、本作は其のゴールが物語上の「転機」となり、「結末」はその延長線上に描かれる点が特異である。
伏線の収拾の意味合いも有ろうが、個人的には物語の収束点が暈された様に感じられ、残念な所である。

とは言え、男同士の言葉の掛け合いや、サッカーでの勝負、シュールな“砂漠に自転車”の成れの果て等、純粋に鑑賞を楽しめる造りにはなっている。
肩肘張らず、のんびりと愉しみたい作品である。

自分が一番好きなタイプの、ゆるく進行しつつ最後は人情にほっこりできるようなロードムービー。旧友を救わなければという一心で動き出した主人公たちの「本当にこれたどり着くんだろうか」という感じの行き当たりばったりっぷりも楽しいし、てっきり最終的な目的地と思っていた場所のその先にある真の...というのもいい意味で期待を裏切られ、愉快な連中たちの「何だかんだ言っても良い友人たち」という姿が際立って本当に鑑賞後の余韻が良い。マラケシュほかモロッコに実際に行った身としても懐かしい風景がいろいろ目にできて、観光ムービーという意味でも大変満足。

ロードムービーはあまり好きではないが飽きはしない。
『エーゲ海の天使』同様、イタリア男が揉め事をサッカーで解決。この監督のユーモアが好きだ