レインウォッチャー

シライサンのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

シライサン(2020年製作の映画)
3.0
いわゆるリングの系統というか呪い感染ものなんだけれど、この「シライサン」自体のバックグラウンドがそこまで掘り下げられないので人型はしていれど人格はあるのかどうか不明、より「呪いのシステム」だけが残ってしまったような感じがして業が深げ。加えてその能力(条件付きで攻撃してくる)も相まって、どこかスタンドぽいなこいつ…と。遠隔自動操縦型でしょう。そういえば乙一さんってむかしジョジョのノベライズも書いていましたよね。あと顔が意外と不安を煽りながらも慣れるとキュートにも見えてくるデザインで、ティムバートンの「ビッグ・アイズ」を思い出したりもしました。

そんなわけで悪霊側の設計はなかなか楽しめたのですけれど、絵面とシナリオがダブルでヌルイのは否めない。どこかのほほんとしていて、温泉地に行ったりするからかもしれないけれど、緊張感に欠けるというか明るいのですよね、ずっと。キャストがイケメンと美女でばかり構成されているのも多少そこに寄与しているのかも。でんでんとか出しとかないと、やっぱり(失礼)
シナリオ面はベタをなぞってゆくところ、ヒロインが終盤に思いつく撃退法が今どきというかユニークだったので、これを実現してみせた展開→からのもう一捻り、くらいが見てみたかったな。そのあたりを無難に避けて置きに行った感じの着地になってしまいました。

あと近年のこの手の(?)邦画ってイケメンがゲシュタルト崩壊しがちで、ぼーっと観ていると同じ部屋に集まったシーンなんかで「あれっ君と君は別の人だったのかい」ということが起こり、本筋よりよっぽど奇妙な感じを味わうのでした。わたくしだけでしょうか。