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英雄都市のmaverickのレビュー・感想・評価

英雄都市(2018年製作の映画)
4.3
2019年の韓国映画。監督は『犯罪都市』のカン・ユンソン。


ヤクザが政治家を目指すというユニークな設定。ジャケ絵から想像するに重みのある作品だと思っていたが、全然違って非常にコミカルで驚いた。冒頭のシーンで早速爆笑。笑って楽しめる良作だった。単に笑えるだけでなく、結構熱い感動作でもある。設定で笑わせるだけでなく、本作ならではの訴えかけるものがある。どういう人間が人々に支持されるかは一目瞭然だ。

主人公はヤクザのボス。義理人情に厚く、ヤクザであるが憎めないような男だ。この主人公を演じるのはキム・レウォン。この人めちゃくちゃかっこいい。ファンになってしまった。ヤクザのボスも違和感なく、インテリと武闘派の中間といった出で立ちが見事だった。政治家を目指してからのイメチェン具合も似合っている。主人公が政治家を目指すきっかけが馬鹿馬鹿しくて笑ってしまうのだが、そこにも説得力を持たせている。人が変わるきっかけはこんなもの。誰かのために全力で変わりたいなんて素敵なことじゃないか。そんな純粋なところがこの主人公の良いところだ。

ラブコメ要素でも楽しませる。ヒロインを演じるのは『地獄が呼んでいる』のウォン・ジナ。この女優さんも初見で、最初のうちは可愛いとは思わなかったのだが、好感持てる役柄でどんどん好きになる。韓国女性らしい気の強い役。ヤクザ相手にも啖呵を切るのが凄い(笑)。気になって鑑賞後に本人を調べたらめちゃくちゃ可愛い人だった。本作では正義感の強い勝気な弁護士役なので、強い女性のイメージ。でも時折見せるキュートなギャップに萌えてしまう。

主人公を目の敵にする相手側のヤクザのボスを演じるのは、『犯罪都市』でブレイクしたチン・ソンギュ。いかにもチンピラな風貌で怖い印象なのだが、結構情けなくて憎めないやつだ。普段の韓国映画なら凄惨な暴力描写の場面も、本作ではくすくす笑えるコミカルテイストで表現される。主人公側も相手側も、手下が愛嬌あって可愛いし。凄味を見せる部分は流石だが、それを活かした笑いがセンスあって最高だ。

最初は不純な動機でも、主人公は自分なりの熱い思いで政治家を志す。見た目や経歴じゃない。その人の熱意がしっかり伝われば、人の心は自然と動く。大事なのは気持ちだ。主人公の言葉は胸に響く。こういう政治家が必要なんだ。


コミカルで感動的で、とっても爽快な作品。政治にも興味持てる。豪華なカメオ出演もあってびっくり。そしてエンディングが最高。あ~、ほのぼのする~(笑)。
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