Nana

はちどりのNanaのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.8
中学2年生のウニが見た、理不尽さと閉塞感に満ちた世界。観ているこちらも感情の捌け口がなくなり息苦しくなる。

14歳という、繊細な年頃がとても丁寧に描かれていました。強いようで脆くもある親友との繋がり、キスへの憧れ、恋愛にも似た後輩との関係性。

先生が何も言わずに辞めてしまった後、家のソファーの下から見つけたガラス片。両親の喧嘩で割れたスタンドライトの物。喧嘩をしても翌日には何事もなかったように過ごしている父と母。そうした姿を見て感じていたであろう、大人に対する複雑な気持ち。それが先生と出会って変わった矢先、何も言わず消えてしまった。大人に対する諦めとも言えるような感情がまた湧き上がる。それが、ガラス片を見つけるという行為に込められていて、その描き方が的確でとても印象深かった。

ラストは、大丈夫だよ、世界はあなたが感じているより広い。とウニに語りかけたくなる、とても心に残る作品でした。
Nana

Nana