き

はちどりのきのネタバレレビュー・内容・結末

はちどり(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「こんな心があるから今の自分を愛せないんだ」と思ったり、そんな辛いとき、指を1本1本動かすと、その神秘さに、指は動くんだと思える、ということ、ふとしたときに思い出してしまいそうだなと思う

家も、学校も、人間関係も、すべてに息がつまる毎日のなか、不思議と安心させてくれるひとが塾の先生。何か手を差し伸べるわけではなくとも落ち着かせてくれる先生の存在は、どんなときもウニに寄り添っていた。誰かにとって私もそんな存在になりたいと思った。

知っているひとのなかで、本心を知っている人、自分の本心を知っている人は、どのくらいいるんだろう。家族であれ誰かとの関係に絶対なんてなく、常に繊細で不安定なものであることもていねいに描かれていた。

正しい生き方は分からない。生きていたら嫌なことも良いこともある。でもよく観察すると世界は不思議で美しい。先生からのそのメッセージに、ちょっとでも世界を柔らかく捉えようと思える映画だった。

久しぶりに体力をつかう映画だった、よかった。
き