貝

はちどりの貝のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.5
90年代に青春時代を過ごしたティーンの揺れる感情を余白たっぷりに描いていて素晴らしい。目線の動きだけで表現する場面がいくつもあって、静かだけど飽きない。ひとつひとつにあの頃の自分を重ね合わせて、丁寧に感じられるような余白。見応えめちゃくちゃあった。

高度経済成長の中で競争化が進む社会と、強制的にその波に乗せられる国民。格差社会の一片を彼らの生活や言動の中から大いに感じられるし、その度に私たちもそうやって人と人との間に差があることを受け入れながら生きてきたことを思い出す。家族、親戚、小中学校、塾、地元、高校、バイト先、自分のアイデンティティがどこでどのように形成されたかを考える良い機会になると思う。
90年代が舞台だけど今っぽい描き方というか今必要な描き方な気がした。2020年代ってそういうターンですよね?丁寧に生きようよっていう。
貝