Epi

燃ゆる女の肖像のEpiのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.4
近年観た作品の中で一番美しい映画にして、2020年ベストのうちの一本。
全編が作り手側の緻密な構図に満ちていて、光と闇と色によって、鏡さえ象徴的に使われながら美しく描かれる。

物語は18世紀あたりのフランス。島の令嬢の肖像画を描くために訪れた女性画家と、描かれる側のストーリー。
女性同士の恋愛を扱っているが、特殊なものとしては描かない。
人を想う気持ち、そして結ばれるときの感情が伴った圧倒的な官能性に陶酔する。

当時、抑圧されていた女性たちが、自分の気持ちや芸術を表現していきながら「自由」になっていく姿や、途中からの豊かな音楽、オルフェウスの寓話もしっかりシーンとして生きていて、とても感動した。

描かれること、見る、見られるの視線は映画の『真珠の耳飾りの少女』を思い起こさせ、海のうねりや海岸線は『ピアノレッスン』さながらの叙情性。

すごく余韻を引きずります。
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