このレビューはネタバレを含みます
極力音楽が削ぎ落とされていることに、あとから気がついた。だからこそ波の音、筆がキャンバスを泳ぐ音もクリアで、ヴィアァルディの四季「夏」と、お祭りで歌われる歌のインパクトが残っていたのだ。そして最後のクラシックコンサートで強烈なリフレインが来る。ここのエロイーズの表情が、本当に、本当に堪らない。
二人が残してきた愛の証が、ラスト5分でこれでもかと回収される。
それは、望まない結婚という逃げられない現実が迫ってくる間の、ほんの束の間の出来事だけれど、決して夢でなかったことの証明だ。
わたしとあなたは対等で、あなたがわたしを観察しているとき、わたしもあなたを観察している、というシーンがとても印象的だった。