かなり悪いオヤジ

燃ゆる女の肖像のかなり悪いオヤジのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.0
マリアンヌ先生、そしてシアマ監督お元気ですか。メイドのソフィです。ご無沙汰しております。その節はエロイーズお嬢様共々大変お世話になりました。まさか先生に○○の経験がおありになるとは驚きです。これが本当のダタイズム、なんつって。先生がエロイーズお嬢様とあんなこと💖やこんなこと💖をなさっていたのをこっそり拝見させていただいた後なのでなおさら…

さて、まずは映画の大成功おめでとうございます。ただ映画を見た私のおバカな友達のためにお二人に2、3質問させてください。エロイーズお嬢様の肖像画を描きにわざわざ島に渡ってきた意味がよくわかんなーいらしいのです。写メもない18世紀、お金持ちの王室や貴族に娘を嫁がせるためのお見合い写真代わりだったんだよって教えてあげても、イマイチ( ゚□゚)なのです。

レズビアンであるエロイーズ様の肖像画を仕上げること=(にっくき)男たちにエロイーズを奪われること。そこにマリアンヌ先生の葛藤があったのよっていくら教えても理解してくれないのです。ラストから2番目のシーンに出てきたお嬢様の娘さんの絵も、いずれ変態男どもの餌食になる悲劇を予見していたのでしょうか。いずれにしてもノンケの私にもよく理解できないLGBT&フェミズムワールドでした。

お屋敷に現れたお姉さまの亡霊そして先生が旅立たれる日のお別れのシーン。ギリシャ神話に出てくるオルフェとエウリュディケーの“冥府下り”を下敷きにした名シーンですね。足をヘビに咬まれたエウリュディケーのごとく、スカートに炎が燃え移っても気づかないシーンはちょっぴりマヌケでしたが、望まない男との結婚を地獄に例えた演出は、レズビアン監督ならではですよね。カンヌのエロオヤジ審査員もさぞ感心したことでしょう。

ただ、時代考証に衣装やインテリア、音楽にもっとお金をかけるべきだったのでは。端役の私が言うのもなんですが、あんな古くさい緑のドレス、お金持ちの殿方が喜ぶとはとても思えません。まさかキャスティングのみならず美術スタッフも女性中心にこだわりがあったとか。あんな安っぽいセット、ロマン・ポランスキーやウディ・アレンが見たらそれこそ「恥を知れ」と逆に言われちゃいますよ。