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燃ゆる女の肖像のmomoのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.0
○ 嫌いじゃない。けれどあまり刺さらなかったな…と思っていたけど。感想を書きたくなって、書いているうちに、好きなセリフ、好きなシーンがいくつもあったことに気付く。余韻を残す作品。すごく好き。

○ 会話と、言葉にはならないけれど雄弁な沈黙、女の人達の愛情の交わし方がとても自然。そして音の使い方が印象的。荒々しい海の波の音、デッサン中の木炭の音、炎にくべた薪の爆ぜる音、木の扉が軋む音、ワインを注ぐ音、オルガンの音、お祭りの歌、オーケストラ…印象に残るのは、音によって高揚するからではなくて、抑制的だから。装飾された美ではなくて、削ぎ落とされた美しさだった。2人の息づかいも。

○ 画家が館にやってきたばかりの時、食糧を戸棚みたいなところから出すのだけど、その扉の閉め方やその後の仕草に大雑把…?と思うも、この感覚は人それぞれなのかもしれない。あの静かな夜の空間で、音を立てないように…と、なんだかひやひやしてしまった。

以下ネタバレ含む
好きなシーン、会話を。









○ 少なくとも嫌われてはいないと分かっていても、むしろ好意は持ってもらっていると分かっていても、その先に進んで良いのか相手の気持ちに確信が持てない時。言葉も無く相手の肩にそっと頭をもたれさせて、距離を確認する仕草。感情表現が丁寧で、そういうところが好きなんだと、好みを再確認。

○ 脇は一瞬誤解…エロティック。

○ 「あなたの目…」はとらえかた様々だと思うけれど、彼女は空を飛んだように思えて、素敵だった。正解は分からないけれど。その後、キスをしたいと初めて思った時を回想するシーン。行為そのものよりも、愛にあふれていて、幸せな気持ちになる。総じて、この監督の女性の描き方が好きなんだと、気づく。

○ 「最後の再会」という言葉には違和感があって。最後、ひとりで来ていた彼女と画家は…どんな解釈がされているのか、知りたくなった。改めて、余韻を残す作品。
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