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ポルトガル、夏の終わりのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)
3.8
噴水の湧き出るポルトガルのシントラを舞台に、余命わずかな世界的名女優と家族や親友が織りなす人間模様を描いた群像劇。
監督、脚本は、イザベル・ユペールのラブコールを受けたアイラ・サックス。
原題:Frankie (2019)

10月、癌で年内の死期を悟った著名な女優フランキー(イザベル・ユペール)は、"夏の終わりのバカンス"と称して、バイロンが「この世のエデン」と呼んだ世界遺産の街ポルトガルのシントラに家族と親友を呼びよせる。

~集められた家族と親友~
・夫ジミー(ブレンダン・グリーソン)
・元夫、ミシェル(パスカル・グレゴリー)
・元夫ミシェルとの間に生まれた息子ポール( ジェレミー・レニエ )。
・夫ジミーの連れ子=義理の娘シルヴィア(ヴィネット・ロビンソン)とその家族(夫イアン: アリヨン・バカレと娘マヤ: セニア・ナニュア)
・親友でヘアメイクアップアーティストのアイリーン(マリサ・トメイ)
・(呼んではいないが)アイリーンと一緒にやってきた恋人、映画の撮影監督ゲイリー(グレッグ・キニア)

「ピーパの泉("結婚の泉":噴水から水を飲むと結婚できる)」
「探す前に発見せよ」
「あなたは結婚向き?
いいえ、あなたとはね」

フランキーは、息子を親友と結婚させようと密かに計画していたが…。

最後にフランキーはユーラシア大陸の西の果ての海に面する岬の山頂に全員を呼ぶ。
2人で話をしている人物の様子をじっと見ているフランキーの視線と、冒頭「結婚の泉」の水を飲んでいた人物の関連に注目。
遥か頭上の定点から、素晴らしい日没の風景と、ひとり、またひとりと下山していく9人をカメラは見せる。
このラスト・シーンの映像の見事なこと。
人生讃歌であり、それぞれの人生があることを示している。

イザベル・ユペールの演技、エリック・ロメールの香りがする作風、ディコン・ハインクリフェの音楽、フイ・ポーサスの撮影、シントラの街並み、深い森と海、全て美しい。
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