ちのも

ブリット=マリーの幸せなひとりだちのちのものレビュー・感想・評価

3.1
原作未読。多分見終わった後で誰かと余白や人生観を語る映画で、一人で観ると楽しみ半減かなあ。原作はもうちょっと面白いんだろうな〜という予感。

ブリット=マリーってリンドグレーン童話の主人公の名前みたいなので、多分そことの対比とかもあるんだろうけど残念ながら未読。

おんなじ街に住んでたらあいつらおもろいな、とは思う気がするし、ゆるい人生あるある映画。予定調和の心地よさと謎の名言はある…田舎町の出来事だしいい景色とかはほとんどないけど、ロードムービーだと思う。

真面目だけど主婦業しかしていない、それしか見ようとしてこなかったブリット=マリーの仕事と子供と恋と夫と過去…まあ全部の話なんだけど、ちょっとまとめきれなかったね…。

個性豊かな町の面々なのに俺も俺も式でさーっと流れていってしまったし、ブリット=マリーについてもはっきりした起伏がないままぬるっと語られて、いる…?ブリット=マリーの話なんだよね…?リストでてきぱきおばちゃんじゃなかったの…?なんとなくリスト作れなくなった描写はあるけど理由が伝わんなかったよ…?という感じの散漫な語られ具合。原作どうなってんだろ。

一目惚れからの地味に恐ろしい猛アタックかましてくるスヴェンにブリット=マリー同様戸惑いを隠せなかった(初対面手作りジャムはビビる)けど、ナンパで優しいちょっと舞いあがっちゃってるポリスメンだと理解するといい造形だった。やたら陽気なピザ野郎、鼻もちならないお役所保護者、上手くやってたと自分だけは思ってた夫、それからもちろんサミやバンク、子供たちもイイ。
だけどこの自然な味の役者陣にゆるっとしたストーリーを絡めるなら、もう少しどこかで思い切ったエピソードの取捨選択とか画面が必要だったような気がする。いい言葉なんだろうな、と思うところはあるんだけど、映像で観た意味が薄い。

個人的には差別に意識的でフラットになりつつあってもなお存在する見えない壁がちょいちょい出てくるのが興味深かった。主にサミ周り。若くてやる気もあるけどコーチにはなれず、兄弟の面倒をみないといけない=公的サポートを受けられていない。一方でブリット=マリーは年取ってて職がないと言われつつも紹介を受けてコーチに就任。
人種なのか年なのか地域なのか、また監督が意図的に見せようとしたのかはわからないけれど、性差が取り払われるとこういうとこが残ってくるのか〜、という学びがある。

うーん、原作読むかあ!
ちのも

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