Nori

家族を想うときのNoriのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
5.0
令和元年ラストの映画鑑賞。

笑いなし。鑑賞し続けるのがシンドイけれど、目を背けることができない。

私自身は市場が人間をより豊かにするという立場を支持するモノで、生産性向上、より便利に快適に、という方向に、歴史は進んでいると思っている。

しかし一方で、その市場から溢れ落ちそうになって(溢れて)しまう人々が多く存在することも知っている。

この作品で描かれる家族、主に父と母の労働について、酷い状況だ、改善しろ、と思うこと、感じる人は多いだろう。
私もそう感じる。と同時に、自身のキャパを直視しない行動、社会で起こっていること一般についての無知、他責的態度の長年の蓄積が何をもたらすのか、ということを思わざるを得ない。
そして、自分自身を、感情をコントロールできない人物から、幸福は遠ざかっていくのではないか、とも思うのだ。

チャップリンの「モダンタイムス」を持ち出すまでもなく、労働における人間性というのは、人間にとって永遠のテーマなのだろうと思う。自分だけ良ければそれでよし、とするのではなく、もがき苦しむ他者が存在することを忘れず、日々の労働に勤しもうと想う。
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