Nちゃん

家族を想うときのNちゃんのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.0
イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。
そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士として時間外まで1日中働いていた。
家族の幸せのためを思っての仕事が、いつしか家族が一緒に顔を合わせる時間を奪い、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンは寂しさを募らせてゆく。
そんな中、リッキーが何者かに襲われ荷物を奪われる事件に巻き込まれてしまう。


現代が抱えるさまざまな労働問題に直面しながら、力強く生きるある家族の姿が描かれる。
これがフランチャイズ業界の闇か。
自由な労働時間がウリだけど、決まっていないからこそ負担が増すんだよな。
母親も残業代が出ないとかさ、現代の労働問題とリンクしすぎていてフィクションだとは思えないほどのリアルさ。

家族を幸せにしたい一心なのに、理不尽な借金が増える一方だし、家族の時間まで奪われ、精神的にも苛立ち、睡眠時間も減り、家族それぞれに問題が起き、仕事どころじゃなくなって、みんなそれぞれがどんどん破滅していく様子が見ていて辛く、こんなに頑張っているのに報われない歯痒さすら感じた。

そしてこのエンディングには納得がいかなかった。父としてのプライドかはわからないが、父の事件でまとまったように見えた家族がバラバラになった気がした。
結局この家族の生活は平行線なのか。

それにしても、一度叶いそうだったマイホームの夢が叶えられなかったからってマイホームを建てることにこだわり過ぎてないか?今のアパートでもじゅうぶんだろうに。マイホームにこだわらなければこんなに苦労してお金を稼ぐ必要もないだろうに。それにもっとマシな仕事も探せばきっと見つかるはず。

お金がなければ生きてはいけないが、お金が少なくても目の前にある大切なものは守っていけるよ。気付いて。

セブの犯罪行為も犯罪する意味がわからないし、寂しさからくるものだったらバカだなって思う。警官の言葉が滲みた。

なんかもうこの家族みんなが可哀想すぎて見ているのが辛かった。
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