影屋れい

リトル・ジョーの影屋れいのレビュー・感想・評価

リトル・ジョー(2019年製作の映画)
3.8
『リトル・ジョー』。怖い。しっとりと怖い。激しい暴力描写があるわけでもなくましてや派手に血が飛び散るわけでもない。だが怖い。恐ろしい。周りの人物が静かにゆっくりと変化していく怖さ。それも理性的にだ。静かに諭してくる…まるでカルト。
そう、これは植物のカルトだ。信者がどんどん増えていくのだ。そんなバカなと一笑に伏せないし、生存戦略として大いに有り得て説得力がある…そう思わせる素晴らしいスリラー作品。

劇中に流れるやたらと日本の歌舞伎を思わせるような音楽の使い方がお洒落。場面転換や人物の心情…心臓の鼓動や感情の揺れを日本的な音楽を流すことで表現する…それは西洋版の歌舞伎、時代劇を観ているようで何とも不思議な気持ちにさせてくれます。

その赤は天国の赤か。はたまた地獄の赤か…。
何れにせよ人類の彼岸花…。
影屋れい

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