このレビューはネタバレを含みます
ラスト場面が移り変わる時の影のコントラストが素晴らしく気持ち良くて、晴れ渡るような気持ちになれた。
この感覚アレに似てるかも…京都・清水寺の胎内めぐりの出口から出た感覚。
この例えどう考えても謎すぎるけど。
パンフレットでドラン監督が少し話していたミレニアム世代のセクシャルアイデンティティの話が興味深くて。
主役の二人の年代の持っているセクシャルアイデンティティの感覚との対比になっていたことに遅ればせながらその文章で気が付いてしまった。。。
ドラン監督演じるマキシムの一つ一つの表情が新鮮で瑞々しくていつまでも観ていたいと思わせる魅力は、まるで自分がマティアスになったようで不思議な気分。
なにより心地良かったのは、一つ一つの事柄や一人一人のキャラクターのバックグラウンドの説明がほとんどないこと。
この人はこういう人で、っていうのが主軸となる2人以外ほぼ排除されて絞り切られていたように思えた。
そしてバックグラウンドの描かれない友人たちやフィアンセや弁護士、必要以上に描かれないし語られないにも関わらず彼らが「なにを思ったか」がわかるような演出が、主軸ではないからと排除して扱うのではなくそれぞれ一つの独立した個を持つ人間として描かれているようなのが印象的。
例えば、マティアスをパーティに送るフィアンセの表情や、マティアスを誘った弁護士の彼の仕草、喧嘩後の友人たちの出迎え方。そういうものが散りばめられていて、一つの最初から最後のストーリーではなくて「から」の部分に起こったある人間の人生の一部分を観た感じ。
すきでした。