リリー

北の果ての小さな村でのリリーのレビュー・感想・評価

北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)
4.0
また、地味だけど観て良かったと思う映画でした。登場人物は全て本人なので、再現ドラマを本人達が演じているということです。だから、演技も自然です。
全編グリーンランドの銀世界が舞台なのですが、「レヴェナント」の極寒の雪景色を観た時に感じた心細さ、自分も吹雪の中に一人取り残されたような寒気は全く感じませんでした。それは、先生とイヌイットの人々との温かい触れ合いや村人たちの温かい人柄が、こちらの心を温めてくれたからです。教育の真髄も教えてもらいました。
デンマーク人のアンダース先生と、日本人と同じモンゴロイドで日本人そっくりの顔をしたイヌイットの人たちと生徒たちの関係が、初めはギクシャクして、新米先生が苦労します。桁外れの寒さ、デンマークとグリーンランドの生活習慣の違い、子どもたちの勉強への関心を集めることの難しさ、村人のデンマーク人への不信感など、先生の前には高い壁が道を塞いでいます。しかしあることをきっかけに壁が崩れていきます。
アンダース先生が赴任する前に、役人が言った言葉が衝撃的でした。「あなたはデンマーク語を教えにいくんだから現地の言葉を学んではいけない。私もそこに20年いたけど、現地の言葉は全く必要なかったわ。」そんなことあるわけない!この人は冗談を言っていたに違いない!現地の言語や文化を学ばないでどうして交流が出来るか!
また、イヌイットの人の言葉も印象的でした。アンダース先生が故郷でのしがらみをくどくど述べていた時、「デンマーク人は難しく考えるんだなあ。君はどうしたいんだい?」とイヌイット人が聞くと、アンダースはあっさりと本心を素直に言うことが出来るのです。
アザラシのさばき方、オーロラに関する伝説、犬ぞりの扱い方、狩りや漁の方法など、村人たちは根気よくアンダース先生に教えてくれます。先生として赴任したアンダース先生は、立場が逆転して、実は生徒だったことがわかります。
今もこの学校で教えているそうなので、先生のご活躍を遠くから祈ってます!