ノラネコの呑んで観るシネマ

鵞鳥湖の夜のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
4.1
なるほど「薄氷の殺人」の監督か。
開発から取り残された中国南部の鵞鳥湖。
警官殺しで報奨金をかけられたギャングの男が、報奨金を妻に残すために水浴嬢(娼婦)の女に通報させようと画策する。
しかし警察だけでなく、報奨金を狙う組織の男たちも主人公を狙い大乱戦に。
前作の時も思ったけど、プロットは突っ込みどころ満載で、状況説明もノーラン並みに下手。
しかし退廃が充満するムードと、外連味たっぷりのビジュアルというテリングの魅力で魅せる。
なぜか警官が全員ビカビカ光るスニーカー履いてたり、もはや現実というよりも作家の脳内世界。
クライマックスの舞台となる、原色のネオンがギラギラ光る迷路の様な建物なんて、まるで昔の九龍城砦だ。
容赦のないバイオレンス描写も含めて、ちょうど中国版のニコラス・ウィンディング・レフンという感じ。
まあ彼ほどキメキメに狂っちゃってはいないが、このタッチは好みは分かれそう。
好き勝手に生きて殺し合う男たちに対して、虐げられた女たちの復讐劇であることが浮き上がるあたりは秀逸。
ところで中国の警察って、殺した犯人の死体の前で記念写真撮っちゃったりするの?あれはさすがにフィクションだと思いたいんだが。