シミステツ

小さな兵隊のシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

小さな兵隊(1960年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ゴダール監督の長篇第2作。

アルジェリア戦争の時代、スイス・ジュネーブでは各国の諜報機関が暗躍していた。カメラマンを装うスパイのブリュノはデンマークの女性・ヴェロニカに恋をする。写真を撮りながら彼女の存在に迫るシーンではクレーの絵も印象的に登場するし、役者は不気味だという言葉はスパイである自身に対しての言葉にも思える。

暗殺を引き受けきれず殺せないブリュノ。捕らわれて拷問を受ける。ヴェロニカの手により脱出したふたり。
ベートーヴェンがいるからドイツが好き、スペインは好きではないがバルセロナは好き、などブリュノの台詞は大きな文脈で国ごとの対立や信条を持つことではなく、もっと曖昧で個人的なもので良いということなのかもしれない。「鏡」を通して自分自身に気づくことの重要性。

「倫理とは未来の美学だ」(レーニンの引用)

「自分の声や顔の形を知ることが重要だ」

ピアノの暗い旋律。
「どこから来てどこへ行くのか」

冒頭で「行動の時代から思考の時代へ」という言葉があり、「大事なのは答えよりも問いなのだろう」というモノローグが時代性に対する問いになっていて印象的。