映画開始早々から、嫌な予感がよぎり。
ワンエピソード、ワンエピソード重なっていくごとに悲鳴を上げたいほど（悪い意味で心がザワついて）変な緊張感を味わった。
上田慎一郎監督は本作で一体何を見せたかったのだろう？
ざっくり言うと、画的に印象的なショットが、全くない。比較するのは気が引けるが「カメラを止めるな」には印象的な「ゲロ描写」や小さくて卑近でも、キラキラしていたゲスな笑いが満ちていたのだけど。
そして、無名俳優たちの「らしい感じ」が今回はまるで発揮されていない。
演技的技量はさて置いても、映画の芝居、映画の撮り方という踏襲がなく、全編「演劇」を観ている感じ。
それは即ち、非常に「テレビドラマ」的でもある、ということ。
…ただ、ストーリー面にもそもそも難点があって。ラストで一応の回収をしているが、そのストーリーの目的や、それまでの見せ方が、主人公に果たして良い影響を与えるか、というと酷く歪に感じてしまったし、ラストカットも、それで茶化して良いのか？という気持ちが拭えない。
全ては（作品の中で一応の言い訳ができているのも個人的に悪質に感じたけども）、登場人物たちの描き込み不足、な点と、ストーリー上の仕掛けありきで、ディテールややり取りが全く面白味がなかった。
「レスキューマン」が主人公が投影する「ヒーローもの」として全くカッコよくない。憧れを抱くイメージに繋がらない、というような感じがほぼ全編に散見される。
「演技」という嘘と、「詐欺」という嘘との対決、ということ。宗教団体という巨悪との戦い、という設定。それは断然映画的に面白くなる要素があると思うのに、最終的に小さくまとめられてしまうのが残念。
「映画」を観に行ったときに、映画でしか伝えられないものを感じたい、という観客としては、背を向けられているような気持ちが拭えなかった。
