瀬口航平

シェイクスピアの庭の瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

シェイクスピアの庭(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

シェイクスピアもただの人間だったのかも。作家としてあらゆる栄誉を得ながら、自分が実はすでに幸せであることに気づけず、苦しんでいたりする。人に教えてもらわなければ気づけない。
女は子供を生むべきだというような固定観念もある。
今生でのあらゆる苦しみや喜びからも解き放たれるような、最後の詩が美しかった。

ケネスブラナーとかイアンマッケラン、ジュディデンチ、三人ともイギリス演劇界の宝だけど、このクラスの俳優になると俳優の身体の中に宇宙がありますね。。。無限に広がる空間が常に中にあって、表面に現れる表現はその一端しか見せてくれない。高級な料理店とかで出される料理って、すごく量が少なかったりするけど、それと同じ。でもその一端も、極上の味わいなんですよね。

何年か前にイギリスのストラットフォードアポンエイボン、シェイクスピアの誕生した街、この映画の舞台なのかな、に行ったことあるけど、本当に美しい街だった。一番印象に残ってるのは、シェイクスピアの墓。教会の中の、一番奥に家族といっしょに埋葬されていて、これは本当の話だけど、その部屋に入った瞬間、急に空気が厳かなものになって、ものすごく強いエネルギーに満ちていたのを今でも覚えてる。おれは別に霊感とかないから、あれは人生で初めての体験だった。いっしょに中に入った俳優仲間も同じものを経験したらしい。世界中のシェイクスピアを信奉する人たちのエネルギーなのか、彼そのものが放つものだったのか、何があの厳かで、静謐な空気を生んでいたのかはわからないけど、あそこには何かがいたと思う。目には見えなくても確実に何かがいたと思うぐらいはっきりと感じ取れた。また行きたいなあ。
瀬口航平

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