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エターナルズのwakiのネタバレレビュー・内容・結末

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ最高だった!!
あらゆるルーツやセクシュアリティ、身体的特徴を持つキャラクターがそこにいて、それが当然だというように物語が進んでいく。理由付けもなくて、それは私たちが存在していることに理由なんてない(いらない)ということを表していた。
世界観は壮大なのにキャラクターの一人一人がこんなにもリアルで、「こういうのがマーベルで見たかったんだ!」って思った。クロエ・ジャオ監督が役者のパーソナルな部分を役に反映させていく手法を取るのでその影響かもしれない。
そしてアクションだけでなく人々の営み、愛し慈しみ合う姿、葛藤する様を丹念に描き出していくのがとても良かった。これもまた疎かにされがちだから、マーベル作品(ていうかアメコミ映画)でこんな楽しみ方ができるとは思っていなかったな。
友達も言ってたんだけど、拳と拳で仲直りするんじゃなくて対話で解決するっていう流れが新しいヒーロー像を見せてくれた感じがした。そういう意味では主人公をイカリスではなくセルシにしたところも挑戦的だったと思った。

以下、好きなところ。
・ドルイグとマッカリの関係。めちゃくちゃ可愛い!「マッカリ姫」とか呼んでさ〜。ドルイグ、明らかに彼女にだけデレてるしマッカリも満更でもない反応して仲良しじゃん!気難しそうだけど心優しいドルイグと自由で知的好奇心旺盛なマッカリという組み合わせがもうめちゃくちゃに好き。
彼らを演じるバリー・コーガンとローレン・リドロフは前から素敵な役者だな〜と思っていたんだけど今回ので決定打になった。認めます、好きです。
・セナとギルガメッシュの関係。尊い。親子や兄妹のようで親友でもあるっていうのが良いですよね。ずっと美味しいご飯作って食べていて欲しい。二人が過ごした数百年を詳らかに見せていただきたい。
・エプロンつけて家事をこなすギルガメッシュ。圧倒的パワーで敵を蹴散らすギルガメッシュ。『エターナルズ』、マ・ドンソクの見せ方をよく分かってんじゃない……(誰目線?)それなのにこんなに早く退場させる必要ありました?それだけが不満なんですけど……。次回作で復活してくれませんか……。
・キンゴ地味に好き。「ズドン!」のシーンめちゃくちゃカッコイイよね!心の中で黄色い声あげちゃったや。イカリスの意見を正しいと思っても友達を傷付けることはできない、というキンゴの在り方が好きです。次回作では彼の活躍ももっと見たいな。もちろんカルーンも一緒にね。
・リチャード・マッデンの泣き顔は国宝だと思っている人間です。本当に瞳の演技がうまい……。
大義や命令に従って生きる道しか知らず、自分の人生を謳歌できなかったイカリスが最後に自分の意思で、友人の創った神話になぞって自決することを選ぶっていうのが悲しすぎる。映画見るまでは彼が主人公だと思っていたので「有害な男らしさ」を体現するキャラクターだったのは意外でした。彼にも生きていてほしかったけど、それができなかったことも含めてイカリスなのだと思うことにする。

100点満点ではないけど面白かったし「良いものを見た!」という気持ちで映画館を出られた。吹替も個人的には良かったので余裕のある人はどっちも見てほしい。
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