春とヒコーキ土岡哲朗

エターナルズの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

エターナルズ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

魅力的なキャラクターと10人も出会わせてくれた。

かつての仲間が再集結するモノ。
かつて一緒にいた仲間を再集結させるドラマは面白い。最初から仲間集めする話との違いは、既に関係性ができあがっているのと、場合によっては旅立ちの理由をすっ飛ばせる便利さ。そして、初旅の仲間と違って、一回バラバラになった理由、挫折、引退の意思があったりして、それがキャラクターの葛藤を描くのに効果的。
別れた理由もあるし、しかし元々仲間だったんだからまた集まらなければいけない理由もあるしで、両方に引力が働いた状態でドラマを展開できる。
10人いた仲間を集めていくので半分以上の尺を使うが、増えていくキャラクターが愛らしいのと、途中でしっかりバトルも起こるので楽しめる。

キャラクターが皆好きになれる群像劇。
10人チームの登場で、人数が多くて大丈夫かと思ったが、全キャラクターが魅力的だった。アンジェリーナ・ジョリーは知名度も相まって強キャラになりすぎるんじゃないかと思っていたが、精神的にか弱くすることで可愛いキャラになっていた。

人間からしたら神のような存在でずっと俯瞰で人類の歴史を見ているので、感情移入できない達観した人かもと思った。しかし、人類の過ちと愛らしさを俯瞰で見るのは、我々が歴史を振り返って自分たちについて考えるのと同じ目線。なので共感、理解できた。


人類に救う価値はあるのか。
自らの発明で人類の文明を少しずつ進化させてきたファストス。しかし、彼はその人類が広島に原爆を投下したことで失望し、人類を見放す。ものに罪はなく人間の使い道次第だと言うけれど、人間が愚かで利己的で何を与えても凶器にするバカでしかないから、もう見放すしかないと感じてしまう。
一方、エイジャックは、人類がサノスのスナップで消された仲間を取り戻したことに胸打たれ、人類を見直した。しかし、戦争は現実で、指パッチンはフィクション。現実の人類は、価値があることを証明できることを成していないかもしれない。

終わり方は、続編を急ぎすぎ。
映画全体としては魅力あるキャラクターのセッション、かっこいいアクション、葛藤と覚悟のあるストーリーなど、良いとこずくめだった。
でも、ハッピーエンドで終わればいいものを、何人かのメンバーがセレスティアルに捕まり、他の仲間もその危険に気づく、という終わり方。本作の余韻に浸れない、寂しく不安な気持ちで帰らされたのは残念。続編を今から始めなくてもいいと思った。本作がフェーズ4に入ってから一番面白かったので今後のMCUに期待する気分だが、一個一個の独立をもう少し大切にしてほしい。