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アイ・アム・マザーのkumadaのレビュー・感想・評価

アイ・アム・マザー(2019年製作の映画)
4.5
試験時間中に完答は無理だけど、なんとなく筋道は見えていて部分点は取れる問題があります。試験終了のあと模範解答を見て、考え方は正しいけど、もっと奥の深い緻密な問題だったことが分かり、もう一度復習したくなる問題。そんな映画です(笑)。舞台は、巨大な密閉された施設内。知能を持つロボット(母)と彼女に養育される娘が主人公です。施設にはたくさんの人間の胎児が冷凍保存されており、母がその中からひとつを選んで人工羊水の中に移し、赤ん坊にして育てます。娘はロボットを母と思い育ちます。一人っ子です。他に人間はいません。ある出来事で、外界は汚染されていると言う母の教えは間違っていることに気づきます。母は嘘をついているのかもしれないと言う疑念が生まれます。ある日、外界からひとりの女が侵入します。その女の主張と母の主張は食い違います。母を選ぶのか女の言うことを信じるのか?というお話です。この映画には女性しか出てきません(と言っても母はロボットですが)。ストーリは、明確な答えが分からないまま進みます。台詞も必要最低限です。えっ、このまま終わると消化不良になるぞ。何かヒントをくれと思いつつ見ていると、ラストシーン近くで娘が赤ん坊を抱き、「私が育てる」と言うシーンがあります。ここで一つの答えが見つかりました。これ処女受胎ですね。これが分かると遡って納得できるシーンがあったことに気づきます。これ、キリスト教をベースにした宗教映画です。エンディングで、胎児が冷凍保存されている部屋で娘が何かを決意した目をします。映画のタイトルに繋がるのですね。見終わったあと色々調べると緻密に構築された映画であることが分かりました。気付かなったことも分かりました。SFでくるんだ宗教映画です。よくできています。もう一度見たくなります。台詞を減らして表情だけで伝える映画。演者さんたちのレベルの高さも魅力です。
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