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ロッジ 白い惨劇のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ロッジ 白い惨劇(2019年製作の映画)
1.5
[ジャックを起こすな子供たち] 30点

エイミー・アダムスとアイラ・フィッシャーが似ていることはよく知られていることだが、他にライリー・キーオとアリシア・シルヴァーストーンも似ていると密かに思っていた。するとどうだろう、本作品で共演しているではないか!『ノクターナル・アニマルズ』の再来か!その通りだった。犯罪小説家のリチャードはシルヴァーストーン演じる妻ローラと離婚し、キーオ演じる若い女性グレースと再婚するのだ。それを苦にしたローラは自殺し、残された子供たちはグレースを敵視するようになる。しかし、グレースにも重大な秘密があった。彼女の父親はキリスト教原理主義カルトの指導者であり、グレースは集団自殺を生き延びたたった一人の生還者だったのだ。兄妹が彼女を嫌う描写として、一人分だけ空いた食卓、曇ガラスや結露の向こうの影などを多用して彼女を中々登場させないことで、実際のグレースの無害っぽい笑顔に拍子抜けした感じを強調している。

ちょっと高めの視点から部屋を俯瞰する固定ショット、妹ミアの持っているドールハウス及び人形、孤立した家など完全に『ヘレディタリー/継承』を意識している瞬間が散見される。そこに雪に閉ざされた別荘、超常現象の起こる家と発狂していく責任者といった『シャイニング』的要素を足していく。こうしてエイデンとミアの兄妹と仲の改善しないグレースは、仕事に出てしまったリチャードに置いていかれた別荘に取り残され、持ち物が全て無くなるなどの超常現象に見舞われ始める。そこかしこに掲げられた不気味なイコン絵や十字架は前妻ローラの影もキリスト教原理主義者で彼女を殺そうとした父親をも想起させ、元から弱っていたグレースの精神はぐらつき始める。

奇妙なのは、物語はローラの自死から始まるので兄妹に寄り添うのかと思ったら、グレースの登場以降は両者の視点が混在していくところだろうか。この軸足のグラつきは、前妻ローラのことで距離のある子供たちとグレースの間に彼女の父親の要素が割って入り、彼らの感情の方向性を見えにくくしている。

※ここから先のガチギレのレビューはこちらでどうぞ(Filmarksに書いて昔怒られたので)。
https://note.com/knightofodessa/n/n111be03641c3
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