しゆ

プライベート・ライアンのしゆのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.4
戦争映画って気分が落ち込むからあまり観たくはないんだけど、本作は有名だしスピルバーグ監督だしトム・ハンクス主演だしでいつか観なければと思ってた。
序盤から映し出されるノルマンディー上陸作戦は数秒前まで話してた原型を留めていない仲間の顔、むき出しの内臓、血で真っ赤に染まった海で戦争の恐ろしさが十分発揮されており凄まじい。上映時間は170分で緊迫感のある演出がずっと続くので鑑賞後はどっと疲れるけど戦争の不毛さと命を大切さを体感できる。
肝心の数多くいる兵士の中でなぜライアンだけを救出するのかだけど劇中では広報活動がどうとかさらっと流されてて気になったので調べてみたところ、本作はフィクションではあるものの、実在の5人兄弟が同時に全員戦死して軍が非難を受けたというサリヴァン事件をモチーフにしたらしく、言ってしまえば世論のためだけに無駄な労力を割くのは美談や国家賛美を好むアメリカらしい。
またトム・ハンクスたちは役作りの10日間の過酷な軍事訓練を行わせた一方で、マット・デイモンにあえて疎外感やライアンへの反感・嫌悪感を抱かせるためにそこには参加させずに途中から現場に姿を現わさせることで意図した通りリアルで険悪なムードで撮影を進められたというこだわりには驚いた。
タイトルのPrivateは私的な理由、内密という意味だけでなくライアンニ等兵自身の階級名称も指すとのことで色んな意味が込められているんだなと。
名作だし一見の価値はあるけど2回目は憚られる、そんな一本。
しゆ

しゆ