クロサキ

プライベート・ライアンのクロサキのネタバレレビュー・内容・結末

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

凄絶すぎる未来へのバトン。

カミンスキーの撮影が素晴らしすぎる。
西欧の美しい風景と無慈悲な戦場がドライな質感で捉えられていて、圧倒的な映像が大迫力で3時間展開される。
公開から20年が経とうとしているが、未だ戦争映画の最高峰ではないだろうか。

今作では、命の「価値」についての議論が一貫して為されていると思う。
8人の部隊を編成してたった1人の兵士を探しに行く。という筋書きの中、子供助けるために命を落としたカパーゾ、不可欠とは言えない任務で命を落としたウェイド、軍規を無視して仲間の仇討ちをしようとするメンバーを止めるアパム……他にも会話シーンなども含め、命の「価値」についての寓話的なストーリテリングが取られていると感じた。
それに対しての正解は存在しないと思う。でも間違いなく言えることは、私たちが今当たり前のように享受している平和や自由とその権利は、沢山の人たちが戦った果てに勝ち取られたものだということだ。自分の強い意志で切り開いてくれた先人もいれば、歴史の流れに翻弄されて好まざる形で戦いに巻き込まれた人もいるだろうから、個人的には「犠牲」という言葉を使いたくはない。しかし間違いなく、その恩恵を受けて、私たちは今を生きている。

今作は、アメリカ映画だからとか、第二次大戦だからとか、ヨーロッパ戦線だからとか、そういうふうに条件付けをするべき映画ではない。
戦った人たちの様々な思いに、どう応えるべきなのか、どうすれば胸を張って生きていけるのか。
歴史を繰り返さないための語り部として、これからも多くの人に観られ続けるだろう。


気づかなかったけど、ブライアン・クランストンが出てたんですねー
タイムリーだなぁ。
クロサキ

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