冒頭のノルマンディ上陸任務からもうやめてくれと願ってしまうほどに恐ろしく、凄まじい戦争描写に一気に引きこまれました。ミラー大佐と数名の兵士に課せられた任務は、行方不明のライアン二等兵に兄弟の死を伝え帰還することであった…。とても正気ではいられないほど過酷な戦地で、任務とはいえ他人の命を優先して行動することが果たしてできるのだろうかと、命の重さについて考えてさせられる作品だと思いました。印象的なシーンばかりですが、とくに仲間を殺された敵兵をミラー大佐が逃してやる場面は、人としての正しさと悔しくやるせない気持ちを天秤にかけるようで考え深かった。また、戦争の凄惨さや臨場感だけでなく、状況判断能力のある頼れる存在であるミラー大佐をはじめとする登場人物達もそれぞれ個性的で、彼らの束の間の休息中のやりとりや戦闘中の動きまで興味深くみせてくれる。ライアンを見つけてからもうひと展開あるのも良かった。3時間近くあり内容も緊張感があって少し疲れてしまいましたが、観た後に満足感の得られる素晴らしい作品だと思いました。
