九月

フリー・ガイの九月のレビュー・感想・評価

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.2
ゲームのことはあまり分からなくて正直ノーマークだったのだけれど、評判の良さとカメオ出演が気になり…
あと、この間観たマイティ・ソーバトルロイヤルですっかりファンになってしまったタイカ・ワイティティが見たいということもあって、急遽観に。面白かった!

モブキャラって…?というところからだったけど、
朝起きて飼っている金魚に挨拶をし、毎日同じブルーのシャツに着替えて、ニュースを見ながら朝食をとり、コーヒーショップで買ったミルク入り砂糖多めのコーヒーを飲みながら勤め先の銀行に出社…
そして銀行強盗に襲われるが、何故か慣れた様子。あぁ彼にとってはこれが日常で、何の変化も成長もないその他大勢のキャラクターのうちのひとりなんだなぁ、と何度も繰り返される同じような日々を見て、分かる。

そんなガイが、ある日ひとりの女性に一目惚れをする。雲の上の存在のように思えるが、彼女がかけているサングラスを自分もかけたら同じ世界の人間になれるのでは…このまま同じ日々を送っているだけでは一生彼女に近づけない…と、その日もまた銀行に押し入ってきた強盗のサングラスを奪ってかけてみる。すると、世界がまるで違って見える。

他の誰かにとってみれば自分もその他大勢のひとりで、でもガイのようにそう簡単には人生変えられない、なんて悲観的になる暇もなく、次々とやってくるミッションや散りばめられた笑いで、ずっと楽しい気分で観ていられた。
ゲームの世界の中だけで過ごすガイが恋に落ちた女性は実は現実世界で生きていて、このゲームをプレイしているミリーだということが分かってからはまた一味違った展開に。
カメオやオマージュ、全ては拾い切れなかったけれど、盛りだくさんでとても楽しかった!某シーンでは、自分でもびっくりするくらいドキッとしてしまって顔を直視できなかったという失態…でも音楽まで使われるなんて!と、なんだか豪華すぎるオマケまでついてきた気分。

あの嫌な悪役を、嫌悪感とユーモアの絶妙なバランスで演じていたタイカ・ワイティティのことはますます好きになった。どうやらアドリブが炸裂していた模様。

結局、自分にとって一番大切な人はいつもそばにいたのだなぁ、と温かい気持ちになれるラストだった。
九月

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