世界に衝撃を与えた第一作。
あの浜辺。ゆっくり進むカメラ。
赤ずきんちゃんの話。
強い風に揺れるアヌークエーメの髪。
それらが色褪せることなく甦る。
続編とか、その後とか、
だいたいうまくいかないモノだが、
これは違う。
好きだった人に会う喜びと悲しみ。
やっぱり自分が選んだ道は
間違っていたのかもしれない。
目の前にいるのは
いったい誰なのか。
この熱い気持ちと優しさと緊張感は
若い頃にはわからない。
その先にあるものを人は誰も予想できない。
そういう映画である。
人生最良のときは戻ってはこない。
でも思い出は残る。
たとえ認知症になろうと残る。
老いることは悲しいことではない。
思い出さえあれば人はきっと生きていける。
古いパリの中心街を信号無視して
延々と疾走する車。
それは走馬灯のよう。
過去はいつも美しく見える。
それでも男と女は振り返る。
クロードルルーシュは今回も美しく映像にした。